2022年度協会活動(本年度事業計画書)

一昨年より続く新型コロナウイルス感染症は、ワクチン接種など様々な対策も相まって、一時的に落ち着きが見られたものの、感染力の強い新たな変異株の出現により、経済活動はもとより社会の幅広い分野において深刻な影響が生じている。

建設業においても民間投資の低迷など、今後の需要動向には懸念があり、また建設資材の不足や価格の高騰は、工事の遅延や業績への悪影響が危惧される。

一方、異常気象により自然災害が激甚化・頻発化するなか、昨年も記録的な大雨により全国各地で河川の氾濫に伴う橋や道路の崩壊が発生し、福岡県でも南部で8月には住宅や農地が浸水するなど貴重な財産が失われた。

このため、政府では昨年度より「防災・減災、国土強靭化のための5か年加速化対策」に取り組んでいるが、この実務(施工)を担うのは、主にわたしたち地域建設業であり、また来るポストコロナの新しい時代においては、「新しい地域の創り手」として、人々が豊かで持続可能な生活を営むために必要な社会基盤づくりにも、努めていかなければならない。

長期化するコロナ禍で低迷する経済活動を活性化するためには、これらの施策を着実に推進し、建設投資による内需の拡大と雇用の創出を図ることが不可欠である。

このような現状を踏まえて、本会の2022年度事業活動は、公共工事の円滑な施工への取組の強化、働き方改革の推進、事業を継続していくための経営基盤の強化など、魅力ある建設産業の再構築と地場建設業の発展に向け、行政及び関係団体と連携を図り以下の計画に基づき推進することとする。

【1】事業計画

1.社会資本整備の計画的推進のための安定的な公共事業予算の確保と災害に強い国土づくり

(1) 社会資本整備の推進と公共事業予算の持続的・安定的な確保

地域建設企業が担い手を確保し、生産性の向上を図るとともに地域の安全・安心の守り手として社会的使命を果たしていくためには、安定した経営環境を確保することが重要なことから、全国建設業協会を始め関係団体と連携し、あらゆる機会をとらえ、公共事業予算の安定的な確保と社会資本整備の計画的推進について、国・県等関係機関に提言・要望活動を行う。

(2) 大規模災害に備えた防災・減災対策及び国土強靭化の推進

気候変動の影響により激甚化・頻発化する自然災害から国民を守るため、昨年から「防災・減災、国土強靭化のための5か年加速化対策」が進められている。その円滑な執行は、防災・減災、国土強靭化の推進、またコロナ禍で落ち込んだ日本経済の早期回復にもつながることから、全国建設業協会と連携し、受発注者間の意思疎通を図り、不要な不調・不落の発生を防止する等、公共事業の円滑な施工の推進に取り組む。

2022年度実施する事業計画
 ~継続的事業
  ①九州地方整備局との意見交換会の開催
  ②福岡県(建設工事関係部)との意見交換会の開催
  ③全国建設業協会委員会への参画
  ④九州建設業協会定例懇談会への参画
  ⑤九州建設業協会地域懇談会への参画

2.地域社会を支える建設業の経営基盤の強化と健全な発展への対応

(1) 新・担い手3法の適切な運用への対応

新担い手3法について、法改正後の適切な運用のため、全国建設業協会と協調して発注者等における運用状況を調査し、会員企業へ情報提供を行う。

特に、改正品確法について、国はもとより地方公共団体、特に市町村における新たな運用指針の浸透・運用状況等について調査分析を行うとともに、改正建設業法に基づき昨年勧告された「工期に関する基準」について、公共工事のみならず民間工事における運用実態の把握に努め、関係機関に対する具体的な提言・要望を行う。

また、地方公共団体や市町村における最低制限価格制度・低入札価格調査制度の運用についても適切な運用がなされるよう働きかけを行う。

2022年度実施する事業計画
 ~継続的事業
  ①九州建設業協会建築委員会への参画
  ②九州建設業協会土木委員会への参画
  ③改正品確法の運用指針に定められた事項について、
   発注者の運用状況、受注工事における収益性等について、情報収集及び分析

(2) 建設生産システムの高度化に向けた対応

① 生産性向上に関する諸問題への取組
 国の施策によりDX(デジタルトランスフォーメーション)やi-Constructionの取組が加速する中、ICT施工、BIM/CIM、遠隔臨場、工事情報共有システム(ASP)などインフラ分野のDXやコンクリート構造物のプレキャスト化などの生産性向上策に関する情報について、収集・研究を深め、会員企業への情報提供を行う。
 特にICT活用工事については、会員企業が取り組みやすい環境が整備されるように、小規模工事への導入上の課題、積算上の課題、人材育成・設備投資の負担等の課題の解決に向け、全国建設業協会と協調し提言・要望を行う。また、BIM・CIMについても、情報収集に努め、適宜会員へ情報提供ができるよう取り組む。

② 建設技術者の技術力向上
 会員企業技術者の自己研鑽・技術力向上のための諸方策について検討するとともに、体系だったCPD、CPDS認定取得機会の構築と講習会(オンラインを含む)等の開催を行う。

2022年度実施する事業計画
 ~継続的事業
  ①建築委員会の開催と建築関係講習会(オンライン)の開催
  ②土木・道路委員の開催と土木関係講習会(オンライン)の開催
  ③各支部から独自の意見を吸上げて開催する講習会の開催
  ④ICT研究会の開催

(3) 建設副産物、環境関係法令への対応

環境関連法令、建設副産物適正処理の施策等の動向について、情報収集に努め、適宜会員企業へ情報を提供するとともに、必要に応じて関係機関に対して、提言・要望を行う。

(4) 新型コロナウイルス感染症対策

新型コロナウイルス感染症の拡大防止を図るため、引き続き「建設業における新型コロナウイルス感染症予防対策ガイドライン」(国土交通省通知)や全国建設業協会の「地域建設業における建設現場の新型コロナウイルス感染症対策の実践」等について、最新の情報を適宜会員へ提供する。

3.建設業の担い手確保と労働災害防止対策の推進

(1) 地域建設業の働き方改革による将来の担い手確保・育成

将来の担い手となる若年労働者の入職促進・定着、また高齢者・女性・外国人労働者など多様な人材の活躍機会拡大を図るため、政府が進める働き方改革等を踏まえ、労働環境や処遇の改善に取組む。

① 働き方改革の着実な進展に向けた取り組み
 建設業における令和6年4月からの時間外労働の罰則付き上限規制の導入を2年後に控え、地域建設企業が適正に事業を継続しながら改善への取組みが実現できるよう、事業の発注方法や法制度等について研究・検討を行う。
 また、建設業の担い手の確保、育成のため発注や施工時期の平準化、週休二日制の確保を強く要望していくほか、生産性の向上を図るため、建設業におけるICT技術の活用やi-Construction、テレワーク等の施策に関する情報を収集し、適宜会員企業に情報提供する。

② 建設キャリアアップシステムへの対応
 技能者の処遇の改善や技能の研鑽を図ることを目指す建設キャリアアップシステムについて、全国建設業協会と協調し普及促進に取り組むとともに、技能者のその技能と経験に応じた労務単価の引上げ等といったメリットの実現や利用する事業者・技能者への支援措置等について提言・要望を行う。

③ 外国人就労への対応
 全国建設業協会と協調し、国内外における特定技能外国人の試験及び求職情報を会員企業に情報提供するほか、特定技能外国人等の適正な就労に向けた課題・改善点を調査し、地域の実情に合った運用がなされるよう提言・要望を行う。

④ 女性の定着促進に向けた環境整備
 建設業で働くすべての女性が、働き甲斐と働きやすさの両立により、就業継続の実現に向けた情報発信を行うとともに、働き続けられるための環境整備に取り組む。

⑤ 高齢者の更なる活躍に向けた環境整備
 令和3年4月に施行予定の改正高年齢者雇用安定法を踏まえ、高齢者の更なる活躍に向け、短時間勤務等の雇用形態の多様化をはじめとする雇用管理制度の改善などの取り組みについて、調査・事例収集等を行い、会員企業に情報提供する。

⑥ 建設労働者の福祉向上への取組
 全国建設業協会が進める「目指せ週休2日+360時間運動」、「社会保険加入の徹底」、「建設技能者等の賃上げへの取組」等の活動に協調し、労働環境の改善を進めるとともに、休日確保や若手従業員獲得などの成功例や解決策等事例を収集し、会員企業に情報を提供する。

2022年度実施する事業計画
 ~継続的事業
  ①新入社員研修(オンライン)の開催
  ②高校生及び現場関係者親子の現場見学会の開催
  ③女性活躍研究会の開催
  ④九州建設業協会労務対策委員会への参画
  ⑤福岡県建設雇用改善推進対策会議への参画
  ⑥建設キャリアアップシステムへの対応

(2) 労働災害防止対策の推進

労働安全衛生法に基づく対策を周知・徹底し、労働災害の防止に努めるとともに、建災防等団体との連携を密にし、諸事業の実施に関する情報収集に努め、会員企業に提供する。

4.建設業における社会的責任への対応

(1) 行動憲章に基づくコンプライアンスの徹底

暴力団排除条例の全国施行、品確法の改正等を踏まえて改定された「建設企業(団体)行動憲章」(全建作成分)について会員企業に周知し、建設企業のコンプライアンスのさらなる徹底に取り組む。

(2) 建設業における社会貢献活動の推進

当協会の社会的貢献活動の充実を図るとともに、建設業が国民・社会から正しい理解が得られるよう啓蒙活動等に努める。

2022年度実施する事業計画
 ~継続的事業
  ①勤マルの日活動(地域清掃活動)の実施
  ②献血活動の実施
  ③緊急災害支援活動(ブルーシート・土嚢袋の無償配布)の実施

(3) 災害対応に係る体制の整備

近年激甚化・頻発化する災害に対し、地域の防災・減災対策、災害対応等を担う建設業界として災害予防や応急復旧活動について関係行政機関と連携強化を図る。

また、福岡県との防災協定に基づく対応を強化する他、災害対策基本法に定める「指定公共機関」に指定された全国建設業協会の会員として防災業務計画に基づき災害対応に係る必要な体制構築に向け研究を行う。

2022年度実施する事業計画
 ~継続的事業
  ①防災研究会の開催
  ②福岡県建築物災害対策協議会への参画

(4) WEB会議等の充実

新型コロナウイルス感染症対策で導入したリモートによるテレビ会議システムについて、各種会議や講習会などへ利用範囲を拡大していくとともに、会員企業への連絡等についてもオンライン化を検討し、事務の効率化を図る。

5.戦略的な広報活動の推進

建設業の果たす役割や必要性について、国民・社会から正しく理解され、若者が夢を以て将来を託せる魅力ある産業とするため、建設業界の実態や主張を効果的に発信し、積極的な広報活動を行う。

2022年度実施する事業計画
 ~継続的事業
  ①広報紙「ひと・まち・ふくおか」の作成・発行
  ②ホームページの活用
  ③建設関連団体合同新年賀詞交歓会の開催

【2】関連事業計画

1.関係各官公署との連絡協議

2.全建・九州ブロック並びに各都道府県との連絡協議

3.会員所在各市との連絡協議

4.各地区会員との連絡協議並びに活動援助

5.建設関係功労者表彰候補者、全建表彰候補者の推薦並びに協会表彰の実施

6.事務局の事務合理化

7.建退共福岡県支部に対する業務援助

8.関係団体に対する協力援助
 ・福岡県建設関連産業協議会
 ・西日本建設業保証(株)
 ・(公財)建設業福祉共済団
 ・(一財)建設業振興基金

9.各種関係団体並びに報道関係者との連絡協議

10. 全建・九州ブロックと緊密な連携による施策の推進

11.その他本会の目的を達成するに必要な事業

◎上記事業計画推進のための必要な調査・視察等の実施、法令の制定・改正に伴う説明会、各種講習会等を開催(支援)する。